「シークレット・マン」を観ました。

最初はなんとなく暗そうな映画だなと思って、ウォッチリストには入れたものの、しばらく見ようとしませんでした、

話題がアメリカ史上かつてない、時の大統領のニクソンがかかわったウォーターゲート事件についてですから、最初から明るい映画ではないと思いました。

リーアム・ニーソンさん主演の映画「ザ・シークレットマン」

日本で時の総理大臣が逮捕された事件は、田中角栄元首相が代表的だと思います。

東京地検特捜部が捜査を行い、そして東京地検特捜部に逮捕・起訴されました。

しかし、私の感ですが、田中角栄元首相はカリスマ的な存在で、不正なお金をロッキード社から受け取ったかもしれませんが、政治家としての手腕は抜群で、この国の発展に貢献した首相ではないかと思っています。

高学歴の官僚たちや周りの政治家の中で、大学も出ていない首相に命令されるのは、腹が立った人たちも多分少なからずいたでしょう。

それに、周りの空気を読むとかはしなさそうなので、恐らくは敵も数多くいたことが想像できます。

そうした人たちに、蹴落とされたというのが私の見方です。

話が脱線しましたが、ニクソンが大統領の時、FBIのフーバー長官が亡くなります。

30年間、フーバー長官と二人三脚でFBIを支えてきた、リーアム・ニーソンさん演じる主人公のマーク・フェルト副長官は直ちにフーバー長官が集めてきた、政界を含むあらゆる世界の要人の弱みが書かれたファイル類を処分させます。

このファイルは、プライベートの生活のことまで詳しく情報収集した、愛人や浮気相手、不倫のことなど、政治家たちにとって公開されると困るものでした。

そのファィルの存在は正式には存在しないことになっていましたが、政界では公然の秘密になっており、そのファィルのおかげで、FBIはたとえ政府の高官でも下手に操作妨害などができない、不当な圧力を受けないための防波堤とも言えるものでした。

そのフーバー長官が亡くなったため、FBIはある意味危機を迎えます。

つまり、今までそのフーバー長官という存在感の大きな長官を失い、それと同時に政界の大物たちのプライベート面でのゴシップを含む、大量の秘密ファィルを処分しなければならなくなって、今までFBIを守ってきたものがなくなったからです。

副長官のマーク・フェルトはとても真面目で正義感にあふれていて、しかもアメリカの特に政界の不正を許して置けない人です。

しかし、フーバーという防波堤を失ったのを機に、今までFBIに手出しできなかった、政府高官は、待ってましたとばかりにFBIの独立性を弱めようとしてきました。

日本にも先ほど述べた東京地検特捜部という、時の首相すら逮捕・起訴できる機関があるように、アメリカのFBIもその捜査する権限においては、たとえ大統領と言えども本来は口出しできないものでした。

つまり、どのような機関も捜査する権限や、逮捕起訴する権限には口を挟むことができないものでした。

そうでなければ、政界の汚職などは捜査できなくなってしまうからです。

しかし、フーバー長官というFBIの実力者が亡くなり、これを千載一遇のチャンスだとばかりに、FBIにウォーターゲート事件の捜査を48時間でうち切れと法務大臣から言われたり、大統領の首席補佐官から、捜査に関する全ての情報をホワイトハウスに伝えるようにと言われたりします。

本来はこのようなことはあってはならないことです。

もし、政権内部、もっと言えば、大統領や首席補佐官が悪事を働いていても、捜査の情報が筒抜けになってしまいます。

これは、もし政権関係者が犯罪に加担もしくは首謀しているとすれば、警察の捜査の全情報を犯人に教えているようなものですから、FBIの手の内を読まれ、証拠隠滅や捜査妨害、あるいはFBIの弱点がどこにあるのかがわかり攻撃をやりやすくなるでしょう。

もっと言えば泥棒に我が家の2階は窓の鍵をかけていませんから2階の窓から入るのがいいですよ、とわざわざ泥棒に教えているようなものです。

案の定、フーバー長官が亡き後、ホワイトハウスは大統領の息のかかった人物をFBIに長官代理として送り込んできます。

この辺りがよくわからないのですが、長官代理をホワイトハウスが決められるというのはFBIの独立性を保つという意味では、おかしな話です。

主人公のマーク・フェルトが映画の中で言っているように、FBIの人事は本来は生え抜きなのだそうです。

つまり、FBIの長官や副長官、その他重要なポストは、FBIで長年働いてきたもののみがなることができるという意味です。

いきなり、外部から長官代理が来たりはしません。

そうでなければ、長官を政府が好きに選んで、都合のいい長官を送り込めば、FBIをホワイトハウス始め政府が掌握できてしまいます。

そうなると、当然政府にとって都合の悪い捜査はされないようになってしまいます。

マーク・フェルトが言っているように、FBIは、との組織からも独立していなければなりません。

そのためにFBIの独立性が保証されてきました。

しかし、悪徳(と言ってもいいかどうかわかりませんが)大統領のニクソンは、そのFBIの独立性をじわじわと崩しにかかってきたのです。

そのことに危機感を募らせたマーク・フェルトは残された第4権力であるマスコミと連携することを選びます。

司法、立法、行政の3つの権力の次に来る権力です。

FBIは本来捜査機関ですから、大統領のように国民に向けて演説をしたり、報道官を通じて国民に説明したりすることに関しては、弱いところです。

そしてその独立性がゆえに、軽々しく捜査内容や捜査の進展情報などは、あまり公にはできません。

そうした意味で、大々的に国民に向けて説明できるホワイトハウスなどに比べると、国民への理解を求める点において圧倒的に不利です。

しかも、当時国民の人気があったニクソン大統領ですから、テレビ演説や記者会見などで発言すれば、何も知らない国民はすぐに信じてしまいます。

そのため、マーク・フェルトはワシントンポストやタイムズなどに、内部情報を自らリークして、政府内部からの圧力や不可解なFBIへの動きを記事にすることで、対抗しました。

もちろんこれは危険な賭けで、内部情報がマスコミの記事になれば、そのリークした犯人探しが始まります。

最も内部情報を本来はリークしてはならないFBIにとっては、本来ならばあるべきではないでしょう。しかも副長官自らがリークしているのですから。

しかしマーク・フェルトはその危険を冒しても、国民に向けて、そして議会の議員たちに向けて、政府内の上層部に不正があるということを知らせるために、そして政府内部の上層部に揺さぶりをかけるために、あえてリークして、記事を書いてもらいました。

このようにマークフェルトは保身よりも古臭い言葉かもしれませんが、正義の方、政界内部の不正は見過ごさない道を選びました。

長々とストーリーを述べてきましたが、このあとまだまだ映画は続きます。

最後に一言だけ書かせていただきたいのは、マーク・フェルトを演じたリーアム・ニーソンさんです。

スピルバーグ監督の有名な映画の「シンドラーのリスト」で主人公のシンドラーを演じた人です。

シンドラーはご承知の通り、工場で働かせることを理由に、何千人ものユダヤ人を強制収容所送りから救いました。

しかし自らもナチ党員だったシンドラーはドイツ敗北後、不運な最後を遂げたそうです。

その役をやれる人はやはりリーアム・ニーソンさんしかいなかったと思います。

意志の強さ、行動力、正義感を感じさせる何かを持っています。

リーアム・ニーソンさんは、シンドラーのリスト以降も、やはり正義や善行のために戦う役で、いくつかの作品に出ています。

私はこれからリーアム・ニーソンさんにも注目して映画を見ていきたいです。

via PressSync

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