「わたしを抱いてそしてキスして」は1992年の映画です。現在のエイズを取り巻く環境は?

昨日観た映画「わたしを抱いてそしてキスして」はただの娯楽作品とは違います。

この映画が作られたのは1992年のことですから今から27年も前のことです。

その当時ですら、エイズは同性愛者や麻薬の注射針を使い回して感染するという、以前の感染経路ではない、異性間の性交渉で感染する割合が8割でした。

27年後の今はどうなっているのでしょうか。調べたところやはり今でも異性間の性行為による感染が8割とのことでした。

わたしは元看護師でしたので、患者さんの中にはエイズではありませんけれども、B型肝炎や梅毒に輸血で感染した方もいらっしゃいました。

そうした、本人の意思とは全く関係なく感染してしまうケースが多いです。

その方々も特に梅毒などは、やはり偏見や差別の対象となりますから患者さんの精神面での苦しみがあります。

わたしは以前はエイズというのは遠いアフリカで蔓延していて、日本ではそれほどではないのではないかというふうに思っていました。

映画ではお医者さんが医療行為中の事故(誤って患者さんに注射した針を自分に刺してしまう)で感染し入院している場面もありました。わたしも同じように患者さんに刺した針を誤って自分の手に刺してしまう針刺し事故は2〜3度経験しています。

おそらく大抵の看護師さんやお医者さんは1度や2度は経験しているのではないかと思います。

黒澤明監督の映画でも従軍医師として戦地で梅毒を持つ患者さんの手術中に誤ってメスで自分の手を傷つけてしまって、梅毒に感染し、戦地から帰国した後、婚約していた女性を愛していながら別れ話を持ち出す主人公と何も彼から事情を説明されずに婚約解消を突きつけられる彼の婚約者の葛藤が描かれていました。

それに、必ずしもエイズや梅毒に感染しているかどうかに限らず、病院に通っているということだけで、会社での出世に響いたり、就職活動などで採用されなかったりと、偏見や差別はあります。

エイズが空気感染や、唾液、肌の接触などでは感染することは無いと説明されているにもかかわらず、わたしも含めた多くの人は、それを避けてしまうのでは無いでしょうか。

話はエイズから離れますけれども、わたしが勤めていた人工透析科は見た目には肌が少し黒ずんでくる場合が人によってありますが、外からその人を見ただけでは透析患者ということはわかりません。
松葉杖をついていたり、車椅子に乗っている方はひと目見て、障がい者ということがわかりますけれども、透析患者さんはそうではありません。(透析患者さんは第一級身体障害者です)

これは、精神的な疾患でも同様です。よほど奇怪な言動をしていなければ、見た目にはわかりません。細川 貂々(ほそかわてんてん)さんが書いて、ベストセラーになって映画化された「ツレがうつになりまして」のテーマである「うつ病」などは、側(はた)から見た分にはどこがどう具合が悪いのかわかりません。

細川貂々さん作の「ツレがうつになりまして」漫画本
細川貂々さん作の「ツレがうつになりまして」漫画本

そのため、周りの人から健康なのになんで働かないんだ、とか、例えば周りの人が掃除をしていてそれを見ていながら手伝いをしなかったりすると、なんで手伝わないんだと思われ、ときには非難されることもあります。

話がエイズからだいぶそれてしまいました。

エイズは27年前ですらもはや同性愛者や麻薬を注射する人だけの病気ではなくなり、正常な夫婦間の性行為であっても、片方の連れ合いが外で性行為などして感染した場合は、配偶者も感染のリスクがある、異性間の性行為による感染が全体の8割という病気です。

27年後の現在はどうなっているのか、インターネットで調べてみたら、現在でも異性間の性行為による感染が全体の8割なのだそうです。

映画の中では治療法については触れられておりませんでしたけれども、現在はエイズウィルスの増殖を抑える薬があるそうです。ただしエイズウィルスにも型があって、一種類のエイズウィルスに感染した後で、また別の型のエイズウィルスに感染した場合は薬が効かなくなることがあるそうです。

エイズに関してはNHKを見ていても特集として取り上げられることは稀で、普通の暮らしをしていると、全くエイズについての知識がないまま、生活しているケースも少なくありません。そのことが、エイズの蔓延(まんえん)を促していて、知らないがために、安易に風俗店などに行ってしまったり、不特定多数の異性と性交渉を行ったりしてしまう原因にもなっていると思います。

LINE(ライン)などのSNS(エス・エヌ・エス:SNSとは、インターネットを介して人間関係を構築できるスマホ・パソコン用のWebサービスの総称)で知り合った男女が性行為に及ぶケースも最近は増えているようです。

そして、もし結婚している人が配偶者以外の人とそのようなことがあって感染した場合は、その感染した人の配偶者にも性交渉によってうつる危険性があり、まるで連鎖反応のように感染者が増えていきます。

もはや27年以上前から、エイズは同性愛者や麻薬注射で感染するひとだけの病気ではなくなりました。

とは言っても人間ですから、女性を買ったりということでなくても、場合によっては男と女の仲になってしまうことはある程度避けられません。映画の中でも南野陽子さん演じる合田圭子がエイズに感染していると病院で言われて公園のベンチへかろうじて座って悩み苦しんでいたときに、ちょうど同僚と飲みに行った帰りに、べろんべろんの同僚を介助しながら通りかかった赤井英和さん演じる高田がただならぬ合田の様子を心配して声をかけます。

それがお互いを知りあうきっかけになるのですが、合田は最初は自分の病気のことで高田に被害が及ぶかも知れないと思い遠ざけようと冷たい態度を取るのですが、次第に高田の関西人らしいちょっと明石家さんまさんに似た、屈託のない性格に引かれていくのでした。

世の中何が起こるかわからないものです。捨てる神あれば拾う神ありとはよく言ったものです。

男女の関係は思いもよらないことから始まるもので、コンピュータのプログラムのように計算式では理解できないところがあります。

長々と書いてしまいましたが、エイズと聞くと誰もが恐れてしまいますが、映画の中で、エイズの取材をしていた新聞記者の南果歩さん演じる津島美幸(つしまみゆき)に対して、エイズの専門医である三浦友和さん演じる久留米和夫(くるめかずお)医師がエイズを取材するにつけてエイズの怖さを知った津島に対して、毎日エイズ患者さんに接している久留米自身も実は怖いということを告白するシーンがあります。

最後にこの映画で知ったことを書かせていただきます。

エイズは感染してから抗体ができるまで3ヶ月ほどかかるため、性交渉をしてエイズの感染が思い当たったとしても、3ヶ月経たないと検査しても正確な結果が出ないこと。

※1エイズに感染するのは血液、精液、膣分泌液、そして母乳からのみであること。

※2空気感染や肌の接触、唾液、尿では感染しないこと。(唾液や尿の中に含まれるエイズウィルスは極微量なため)

エイズに感染したかどうかを知ることを目的に献血をしても、もしエイズに感染していても、その事実は献血者へは知らされないこと。

※1と※2の参照サイトは以下です。

参照「HIV感染からエイズ発症まで|HIVの基礎知識|北海道HIV/AIDS情報」

URL:http://hok-hiv.com/knowledge/process/

HIV感染からエイズ発症まで|HIV基礎知識|北海道HIV/AIDS情報 北海道大学病院HIV診療支援センター
HIVの主な感染経路や発症までの経過、HIV感染症の予後について

参照「どんなことで感染するのですか? – HIV/AIDS Q&A – 医療・ケア情報 – AIDS/HIV総合治療センター」

URL:http://www.kyumed.jp/kansensho/care/qa/a03

どんなことで感染するのですか? - HIV/AIDS Q&A - 医療・ケア情報 - AIDS/HIV総合治療センター
九州医療センター内AIDS/HIV総合治療センター「どんなことで感染するのですか?」のページです。

上記記載のことは「わたしを抱いてそしてキスして」の映画で知ったことをさらに調べて確認したことです。

記載した参照サイトには、現在のエイズの薬のことなども記載されてありました。エイズの増殖を抑える薬があるそうです。

そして感染者の性行為についてもコンドームを使うようにと参照したサイトには書かれてありました。

病気のために全く夫婦間で性行為をしないというのは、感染というリスクだけを考慮すれば致し方ないのかもしれませんが、夫婦というのも不思議なもので、やはり性行為も夫婦としての絆を保つ不可欠な要素になっている場合があるので、もし夫婦共に欲する場合には、セックスも大切な場合もあるでしょう。そうした場合には、参照したホームページではコンドームの使用を呼びかけています。

コンドームを付けることで子供を作ることはできなくなりますが、もし母親がエイズに感染している場合、妊娠中の胎児への母子感染が映画の中では3割の確率で起こると言われていました。

ただし、確認のため参照したサイトには以下のことも記載されていました。引用させていただきます。


母親がHIVに感染していると、妊娠中や出産時にHIVが子供に感染する可能性があります。
母乳中にもHIVが存在しているので、授乳によっても感染する可能性があります。
日本では、あらかじめ母親にHIVに対する薬を内服してもらい、母乳を与えないなどの対策をとることで、子供へのHIV感染を約0.6%以下まで抑えることができています。

引用元「 HIV感染からエイズ発症まで|HIVの基礎知識|北海道HIV/AIDS情報 」

http://hok-hiv.com/knowledge/process/
HIV感染からエイズ発症まで|HIV基礎知識|北海道HIV/AIDS情報 北海道大学病院HIV診療支援センター
HIVの主な感染経路や発症までの経過、HIV感染症の予後について

(映画では、合田は高田の子をみごもってしまうのですが、はじめ合田と高田が話し合って中絶を決意しますが、たとえ子供が感染していても産みたいという合田の切実な願いを聞いた高田も合田の思いに答えて生むことを選択します)

ここに記載したことは、映画の中で知ったことと、後からインターネットで調べたことを参考に書いていますが、もしかすると間違ったことを書いている可能性もあるかもしれません。

確実性を増すためにご自身でインターネット等の信頼できるサイトなどで調べてみてください。

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